週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
記念写真─彰
弁当を食うのにいー場所を探しつつ散歩してたら、形も色も申し分ない落ち葉を見付けた。
「朝陽さん! すげぇ綺麗だよこれ」
「ホントだ。てか、拾うって言ったのはいーけど、あとはどーする?」
「持って帰りたいな。今日の想い出にしよ」
「いーな! でも、このキレーなままで保存できんのか?」
「わかんない。押し花みたいな感じにしたらどーかな?」
「まぁ無理でも、また来年来ればいーしな」
「そーだね。来年は俺が運転するからね」
「ん」
とりあえず押し花みたいに水分抜くのと、ラミネートしてみるのに分けてみるか。
どーせ車返しに、土産持って実家行かないとなんないし。
てか紅葉狩りの土産ってなんだろ?
「彰、こっち見てみろ」
「え? っうわ」
土産を考えてたら朝陽さんに呼ばれて、俺は反射的に振り返った。
それと同時に激しい光が俺の網膜を襲う。
光をまともに見てしまったせいで、残像が目に焼き付いて朝陽さんの顔が見られない。
「はははっ! ビビってやがる」
「今のはフラッシュ?」
「ん。魔王にデジカメ借りてきたんだ」
朝陽さんはそー言いながら、またシャッターを切った。
すげぇ楽しそーだけど、俺ばっかり写るのは本意じゃない。
今の朝陽さんの眩しい笑顔なら、メモリーがいっぱいになるまで撮りたいけど。
「もー。どーせなら一緒に写ろーよ」
「でも、どーやって撮るんだ。セルフ撮りしたら、肝心の風景がキレーに写らねーだろ」
「小さい子供がいる家族を狙う」
大抵父親が写真係になってるから、撮ってやったらお返しにって言ってもらえるはず。
俺はちょうど近くにいた家族連れに声を掛けて、家族写真を撮ってやった。
「どうもありがとう。君たちも一緒に撮ってあげるよ」
よし、来た!
せっかくの朝陽さんとの記念写真だからって調子に乗って腰を抱いたら、腹を殴られてしまった。
もー二度と会うことのない家族だから、恥は掻き捨てでいーのに。
朝陽さんは照れ屋だな。
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