週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
お散歩日和─朝陽
オレたちはこないだ約束した通り、弁当持って紅葉ドライブデートにやって来た。
高速とか山道とか、結構試練は多かったけど、辿り着いたときの爽快感がやべー!
空気がうまいのも手伝ってんだろーけど、来てよかったって思う。
「今日は気持ちいー秋晴れだね。山道の散歩に最適だ」
「そーだな。オレの日頃の行いがいーおかげだ。感謝しろよ」
「うん。朝陽さんといたら毎日幸せ」
「そ、そか。お手軽な奴だな……」
こんなとこでふにゃふにゃ笑いながら言うなバカ。
周りには他の奴らもいんのに。
オレは彰の硬い腹筋を殴……ろうとして、やめた。
弁当を落とされたら困るからな。
でも、このままだと恥ずかしーのがごまかせねー。
なんか彰の関心を引く話題とか……。
「あっ、そーだ。彰!」
「なーに」
「言っとくけど、モミジって名前の木はねーんだぞ」
「マジで!?」
「ん」
「俺、知らなかった」
「秋に葉っぱが紅くなるものの総称が“モミジ”らしーぞ」
「なるほど……“紅葉狩り”って紅くなった葉っぱを見たり拾ったりすることだもんね」
「そーだ。主にカエデのことらしー。あの木とか、カエデだな」
「朝陽さんすげぇ!」
よし、話題が逸れたな。
「じゃあ『モミジの木が紅葉してる』とか言ったらヤバいね」
「そーだな。『頭痛が痛い』みてーだ」
「うん。勉強になるなー」
「じゃ、紅葉の葉っぱでも拾うか!」
「誰も踏んでないやつとかがいーよね」
彰は足元を確認するように、オレの半歩先をゆっくり歩いてる。
オレは周りのキレーな景色を眺めたり、たまに落ちてる葉っぱを拾いながら秋の散歩を楽しんだ。
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