週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
自信☆満々─彰
ペーパードライバーコースを無事に卒業した朝陽さんは今、自信満々でハンドルを握ってる。
その表情はどこか楽しげで、俺はだんだん近付いてきた秋の山そっちのけで朝陽さんを見つめていた。
「彰っ」
「なーに、朝陽さん」
「次はどっちだ?」
「あ、えっと……右?」
「適当に答えるんじゃねーよ!」
「ごめんっ、左だ」
「……ったく。さっきからオレの顔ばっか見やがって」
「だって超かっこいーし、かわいーから」
「オレの顔なんか飽きるほど見てるだろ」
「五万日間見続けても飽きないよ」
「きめぇ」
「ひどい……」
多少誇張したけど、ホントのことなのに。
それにしても、教習に誘ってよかった。
朝陽さんは自信満々になるし、俺は安心できるし、短い間だったけど一緒に通えたし。
ちなみに朝陽さんの教官は全部女にした。
男だったら、俺の朝陽さんが襲われてしまうから。
「あっ、駐車場が見えてきたぞ!」
「ホントだ。大丈夫?」
「当たり前だろ。オレを誰だと思ってんだ」
「さすが朝陽さん」
「ん」
「じゃあ、向こうのプリウスとフィットの間はどーかな」
「よし任せろ」
教習に通うよーになってわかったけど、目標がある方が入れやすいんだよね。
横に車があったら擦りそーで怖いと思ってたけど。
朝陽さんは滑らかなハンドル捌きで、何回か停まって確認しながらも、無事に車を駐車した。
「ふぅ……」
「お疲れさま。後でマッサージさせて」
「ん。ふくらはぎが疲れてんだよな」
「やっぱ力入っちゃう?」
「そーだな。距離があったし」
俺も早く免許取って、朝陽さんと交代できるようにならないとな。
少しバイトを減らしてしまおうかと考えながら、俺は荷物を抱えて車を降りた。
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