週刊『彰と朝陽』

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悔しい─朝陽



 あの時、彰が手を握ってきたと思ったのに違う手だった。

 そこからオレはボロボロだ!

 すげービビって彰に抱き付いてしまったし、ちょっと泣いてしまったし。

 おまけに、怖くて最後まで彰の手を握りっぱなしだった!

 威厳もなにもあったもんじゃねー!

 いきなり強気になった彰に守られる形でお化け屋敷を乗り切ったオレは、現実に帰ってきたと実感した途端に、表現しようのねー悔しさでいっぱいになった。

 とにかく悔しい。別に苦手でもねーのにあれだけ怖がってしまったのが。


「朝陽さーん、ランプ返してきたよ」


 オレはお化け屋敷なんか、怖くねーんだ!

 向こうからニコニコしながら歩いてくる彰を見て、オレは決意を固めた。


「次はどこ行く? 結構人がいるから、なんか食べたいなら大学出よ……」

「来年の夏だな」

「え?」

「リベンジだ、彰!」

「なにに……?」

「お化け屋敷だ! 夏になったら、お化け屋敷に行きまくるぞ」

「マジで?」

「オレは、この悔しさを晴らさねーとならねーんだ!」

「嘘だろ……」


 夏の期間限定お化け屋敷をハシゴして、オレの強さを証明してやる。

 彰は震えながらオレに付いてくればいーんだ。


「よし、あれ食いに行くぞ。チョコバナナ」

「待ってよ朝陽さん、お化け屋敷はマジなわけ?」

「当たり前だろ。来年の夏、オレとデート三昧の予約だぞ。喜べよ」

「朝陽さんとデート三昧!」

「うれしーだろ」

「超うれしー!」


 よし、単純な彰も喜んだし、リベンジの舞台は整った。

 オレは来年のお化け屋敷制覇に向けて、明日から彰の筋トレに付き合うことを決意した。


 -END-



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