週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
なぐさめる─彰
朝陽さんからランプを受け取ってしっかり手を握ってあげると、まだ少し震えてて胸がキュッと締め付けられた。
「朝陽さん、ゆっくり行こーね」
「ん。オレ、情けねーな」
「そんなことないよ」
「でも」
これはホント。
最初怖がってた俺を励まして、前に立って守ってくれたじゃん。
すげぇ男前でかっこよかった。
「本格派お化け屋敷だから、しかたないよ。相手も相当研究したみたいだ」
「……そか」
朝陽さんは空いた方の手で俺の服の裾を掴んできた。
たまに出てくる仕掛けやオバケにビクつくのがかわいー。
でもそんなこと言ったら朝陽さんのプライドを傷付けてしまうことになるから、慎重に慰めないと。
「うん、朝陽さんは果敢に挑んでたよ」
「ホントは怖くねーんだ! でも、あれが不意打ちだったから……」
「うん。先制攻撃は危ないから、ここから俺に任せて。せっかく賢者になったんだから、勇者を守らないと」
「あ! そーだな。命張ってオレを守れよ」
「喜んで」
元気になったかな?
……それにしても、あいつは朝陽さんをビビらせすぎだ。
俺と朝陽さんのこと知ってるから気を利かせたつもりなのかもしれねぇけど、手を握ったのが引っ掛かる。
あぁそーだよ、あいつだけは知ってんだ。
最悪なことに、大翔にバレた時みたいに俺の寝言でバレた……。
男子校出身だから偏見はないとか言われてホッとしたけど、朝陽さんのことかわいーって言ってたから複雑だった。
「あっ、彰ーっ」
「朝陽さん、この手は離さないから、耳塞いでて」
「ん……わかった」
とりあえず今はこのダンジョンから脱出することに集中しないと。
俺はあらゆる仕掛けやオバケから、我が身を盾にして朝陽さんを守った。
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