週刊『彰と朝陽』

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手が触れあって…─朝陽



「彰のダチはどこだ」

「オバケになってる」

「そか。なら容赦ねー脅かしが来るのか」

「そーなんだよ……。だからやめよ?」

「でも、もー入り口だぞ」


 おどろおどろしい看板と入り口に、不釣り合いな普通の受付が逆に怖い。

 これはオレも余裕じゃいられねーかもしれねー。

 気合い入れて行かねーとな。


「このランプを持って入ってください」

「サンキュ。ほら行くぞ、彰」

「う、うん……」


 オレは彰が後から来てるのを確認して、中に突き進んだ。

 この教室はわりと広いのがネックだな……。


「朝陽さん、離れないでよ」

「怖いならオレの服の裾でも持ってろ」

「わかった」


 ホントは手でも繋ぎてーんだけど、彰のダチがいるから無理だ。

 彰のダチは、彰がオレと付き合ってるなんて知らねーだろーし。

 オレは元々男が好きだからいーけど、彰がホモだって言われたらかわいそーだろ。


「彰」

「なーに、朝陽さん」

「やけに静かだな」

「そーだね。仕掛けとかないね」

「本格派……なんだよな?」

「って言ってたけど」


 まぁ学祭レベルだからしかたねーな、なんて思いながら歩いてたら、前からいきなりでかい音がした。


「うわあッ! 朝陽さーん!」

「なんだ、うるせーぞ」

「だ、だっていきなりでかい音が……」

「こーいう脅かし方は定番だ。気合い入れろ」

「うん……」


 彰はそー言いながら掴んでた服を離して、オレの手に触れてきた。

 情けねーな。

 確かにオレもビビったけど、ちょっとドキドキしたぐらいだ。

 でもそんなに怖いなら、真っ暗だし手ぐらい握ってやってもいっか。


「しかたねーな。今はこのままでいてやるけど、出口の手前で離せよ」

「え、なにを……?」

「とぼけんな。手だ」

「俺、朝陽さんと手繋いでないよ?」

「な……」


 嘘だろ?

 じゃあオレと手繋いでんのは、誰だ?



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