週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
手が触れあって…─朝陽
「彰のダチはどこだ」
「オバケになってる」
「そか。なら容赦ねー脅かしが来るのか」
「そーなんだよ……。だからやめよ?」
「でも、もー入り口だぞ」
おどろおどろしい看板と入り口に、不釣り合いな普通の受付が逆に怖い。
これはオレも余裕じゃいられねーかもしれねー。
気合い入れて行かねーとな。
「このランプを持って入ってください」
「サンキュ。ほら行くぞ、彰」
「う、うん……」
オレは彰が後から来てるのを確認して、中に突き進んだ。
この教室はわりと広いのがネックだな……。
「朝陽さん、離れないでよ」
「怖いならオレの服の裾でも持ってろ」
「わかった」
ホントは手でも繋ぎてーんだけど、彰のダチがいるから無理だ。
彰のダチは、彰がオレと付き合ってるなんて知らねーだろーし。
オレは元々男が好きだからいーけど、彰がホモだって言われたらかわいそーだろ。
「彰」
「なーに、朝陽さん」
「やけに静かだな」
「そーだね。仕掛けとかないね」
「本格派……なんだよな?」
「って言ってたけど」
まぁ学祭レベルだからしかたねーな、なんて思いながら歩いてたら、前からいきなりでかい音がした。
「うわあッ! 朝陽さーん!」
「なんだ、うるせーぞ」
「だ、だっていきなりでかい音が……」
「こーいう脅かし方は定番だ。気合い入れろ」
「うん……」
彰はそー言いながら掴んでた服を離して、オレの手に触れてきた。
情けねーな。
確かにオレもビビったけど、ちょっとドキドキしたぐらいだ。
でもそんなに怖いなら、真っ暗だし手ぐらい握ってやってもいっか。
「しかたねーな。今はこのままでいてやるけど、出口の手前で離せよ」
「え、なにを……?」
「とぼけんな。手だ」
「俺、朝陽さんと手繋いでないよ?」
「な……」
嘘だろ?
じゃあオレと手繋いでんのは、誰だ?
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