週刊『彰と朝陽』

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よく似合ってる─朝陽



 オレのこと見て、彰は呆れたりしねーのかな。

 確かに黒のワンピースにとんがり帽子だったけど、ロングじゃねーし鷲鼻がなかったんだ。

 つまり仮装っつーか、キモい女装だったんだ。

 本格メイクっても、オレが思ってたシワシワの特殊メイクじゃなくて、普通に女の化粧されてカツラ付けられただけだし……。

 オレは彰に背中を押されて廊下を歩きながら、すげー居たたまれねー気持ちで俯いた。


「どーしたの?」

「オレ、着替えてくる」

「ダメだよ。せっかくよく似合ってるんだから」

「そー言われるのが嫌なんだ! オレは男なのに」

「でも俺のために着てくれたんでしょ?」

「ん……」

「かわいーよ。魔女の朝陽さん」


 リビングに入ったとこで、彰に後ろから抱きすくめられた。

 その勢いで、とんがり帽子がゆっくり落ちていく。

 ほっぺに掛かるカツラの髪がうぜー。


「あ、でも素顔がいーからカツラと化粧は取ろっか。やってあげるからソファに座って」

「彰っ……」

「なーに、朝陽さん」

「驚いた?」

「うん。すげぇ驚いた」

「そか」

「どっきり大成功だね」

「オレ、こんな魔女とは思わなかった」

「大翔に騙された? ほら、目閉じてて」

「ん」


 騙されたっていうか、仕組まれたっていうか。

 ちゃんと確認しなかったオレも悪いけど。

 でも仮装で本格メイクって言われたら、特殊メイクだと思うだろ?

 だからそれに合う演技もしてやろーと思って、いろいろ考えたんだ。

 なのに、魔王の奴……!

 オレは彰にメイク落としのシートで顔をゴシゴシやられながら、心の中でいっぱい言い訳した。

 早く終わらせて、彰のご飯食いてーな。



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