週刊『彰と朝陽』

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魔王─朝陽



 大学からの帰り、オレンジと黒で装飾された店の前を通ってたら、ポケットのケータイがいきなりブルった。

 彰かもしれねーから一応画面を確認したら魔王だった。

 ……これは無視だな。

 バイブは気持ち悪いけど、どうせロクな用じゃねーし。

 てか、今日は彰がハロウィンパーティーするとか言って張り切ってたから、早く帰りてーんだ。

 パーティーっつっても、ご馳走食うだけだけどな。

 オレのためにかぼちゃプリン作ってくれるらしくて、楽しみなんだ。


「………………」


 てかうぜーな。

 いつまでも人の太股をブルブルさせやがって。

 しかたねーから、ちょうど信号で引っ掛かって暇だし出てやった。


「なんだ」

『あ、やっと出たな』

「しつけーぞ」

『朝陽がすぐに出ないからだろ』

「魔王に話すことがねーんだ」

『俺にはあるんだって。で、今どこ?』

「大学んとこの駅。今から電車で帰る」

『じゃあそこで待ってろ。マンションまで送ってってやる』

「断る」

『変なことしないから!』

「今日は急いでんだ」

『彰とパーティーだろ?』

「……なんで知ってんだ」

『お前らを誘おうと思って彰に電話したら、朝陽と二人でパーティーするからって断られた』

「そか。じゃ、そーいうことで」

『待って、だから家まで送るって! 俺はお前らのパーティーに差し入れしようと思ってるんだぞ。肉だぞ』

「…………しかたねーな。乗ってやるから今すぐ来い」

『わかりました、お姫様』


 なにが“お姫様”だ。相変わらずきめぇ魔王だな。

 ちょうど青になったから電話を切りながら歩き出したら、向こうから見覚えのある派手な外車が走ってきた。

 しかも、目を合わせたらロクなことにならなそーな奴が運転してやがる。

 オレはちょっとだけ、肉に釣られたことを後悔した。



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