TRUST ■しおりを挿む
大型犬とオレ(side 朝陽)
□自覚
でっかい男が明らかに殴られた出で立ちで青白い顔の男背負って現れたもんだから、ドラッグストアの店員が固まってた。
消毒液とガーゼとテープと絆創膏のついでに、貧血に効くっていうお菓子みたいなやつも買った。
「あー…ねみぃ」
「え、寝てもいいけど荷物落とさないでよ」
「ん、お前が気持ちぃのが悪い」
「気持ちぃって…」
広い背中で、ぬくくて、なんかいー匂いだったら眠くなんだろ普通。
「あっ、やっぱ寝ないで、朝陽さんの部屋の鍵開けてからにして」
「なーんだよーぉ、彰がなんとかしろよー」
「さすがに朝陽さんのポケット漁れないって」
「…彰になら」
「ん? なんて?」
彰になら何されてもいんだよバカ察しろバカ。
ごめんタツヤ、オレお前に嘘ついたっぽい。
あー、タツヤもさ、オレがセックスしないって言った時点で気付いてりゃいいな。
てか、まさかの彰。
大型犬にそういう感情持つなんてあり得ないのに。
やべ、ただでさえ難攻不落なんだよ、この大型犬。
オレ男なのに。どう攻めようかな…。
すーっと意識が遠退くのを感じながら、オレは心地よい体温に身をすりよせた。
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