週刊『彰と朝陽』

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こんな時しか素直になれない─朝陽



「あ、あきら……」

「なーに?」

「プリンも、食わせてほしー……な」


 彰が食わせてくれたお粥が美味かったから、思い切ってプリンもって言ってみた。

 今のオレは風邪引いてるし、熱があるし、別にいーだろ?

 病人は甘えたっていーんだぞ。


「うん、いーよ。後でアイスも食わせてあげるからね」

「ん」


 すげーうれしー。

 風邪なんか引いて最悪だって思ってたけど、堂々と彰に甘えられるからいーかもな。

 病気を理由にでもしねーとオレ、なかなか素直に甘えらんねーから。


「朝陽さん、あーん」

「あ……」

「噛まなくていーでしょ」

「すぐとろけた」

「うん。美味し?」

「ん。もっと食う」

「無理しないで好きなだけ食べて」


 オレのために、選んで買ってきてくれたんだな。

 お粥もそのまま飲み込めたから、オレが食いやすいように考えてくれたんだと思う。

 ガキじゃねーんだから、ここまで甲斐甲斐しくしなくていーのに。

 さっきも慌てて魔王に電話してたし。

 彰は心配しすぎだ。

 だからかオレ、すげー甘えたくなるんだ。

 我が儘言ってしまいそーだ。


「もーいらない?」

「ん。ごちそーさま」

「ちゃんと食べられてよかった。じゃあ薬飲んで、着替えたら寝よっか」


 彰が薬を口移ししよーとしたから、移るからダメだって言ってやった。

 オレもキスしてーけど、彰に風邪が移るのは嫌だ。

 看病なんてオレの柄じゃねーし。

 ……こんな辛いの、彰に移したくねーし。


「吐き気とかない?」

「大丈夫」

「そっか。じゃあ新しい氷枕持ってくるから、ちょっと待ってて」

「ん……」


 もしオレが、学校とバイト休んでって言ったら、彰は傍にいてくれる?

 オレは部屋を出てく彰を見送りながら、勇気を出すかどうか葛藤していた。



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