週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
一緒にテレビ─朝陽
「おぉ」
「すげぇね」
「ん」
オレは今、彰を座椅子にしてテレビ見てる。
別にオレが座椅子になれとか言ったんじゃねーからな。
彰が勝手にオレの座椅子になったんだからな。
オレはクッション抱き込んで見るってスタイルが崩れねーならそれでいーから、自由にさせただけだ。
ちなみに今やってるテレビは、お菓子工場の内偵だ!
「てか、あの切れ端はどーなるんだろね」
「社員に格安で売るのかもしれねーな」
「それ羨ましーね」
「工場に就職するか」
「ううん。俺はエリートになる」
「彰がエリート……」
「朝陽さんのために金持ちになる」
「オレのためってなんだ」
「嫁だから」
「ん。ま、そーだな」
「俺、朝陽さんを幸せにしたいんだ」
「そか」
「朝陽さんの幸せは俺の幸せだしね」
「じゃあオレ、あれ食いてー」
オレはテレビ画面を指差した。
ちょうどチョコのお菓子作ってる場面だ。
すげー美味そうだ!
「え」
「チョコ。明日買ってほしーな」
「いーよ……」
「よし! 彰はいー男だな!」
「ちょ、待って」
「なんだ? オレが幸せなのに不服なのか」
「え、朝陽さんはチョコ買ったげたら幸せなわけ」
「ん」
「そっか……。それならいくらでも買ってあげる」
「マジか!」
「任せて」
「うれしーな」
「よかった。俺もうれしーよ」
彰はホントにいー男だ。
オレがなにか食いたくなったら、よく次の日に買ってきてくれるからな。
だから、た、たまにはちゃんと気持ちを言葉にしてやってもいーよな。
「彰……」
「なーに、朝陽さん」
「す、す……すっ、好きだ……!」
「……っ……朝陽さん! 俺も大好き!」
感激した彰が力の加減もしねーで抱き締めるから苦しーけど、特別に我慢してやることにした。
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