週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
一緒にごはん─彰
朝陽さんはたい焼きに牛乳って組み合わせを絶賛してくれた。
なんか好きな人が自分の好みに賛同してくれるって、すげぇ嬉しい。
たまねぎ切ってても涙出なかったし!
「朝陽さん、おいし?」
「ん。美味ぇ」
「よかった」
「やっぱハヤシはサイコーだな!」
「カレーとハヤシと、どっちが好き?」
「なんだそれ。究極の選択じゃねーか」
「選べない?」
「彰はオレと心が通じ合ってるけど一生セックスできねーのと、セックスはできるけどオレに心がねーのとだと、どっちがいー?」
「どっちも嫌だ! 心も身体もどっちも欲しい……」
「だろ」
「ごめん朝陽さん。愚問だった」
「ん。わかりゃいーんだ」
マジで泣きそー……。
朝陽さんと気持ちが通じて一緒に過ごせるって、すげぇ幸せなことだったんだ。
だよな……一歩間違えてれば、俺が朝陽さんに片想いし続けてたわけだし。
やべ、これって奇跡じゃね!?
てか出逢ったことからもう奇跡だし!
あの女の顔も名前も覚えてねーけど、浮気してくれてありがと!
お前のおかげで朝陽さんに出逢えた。
今なら何にでも感謝できそーだ。
俺にこんな影響与えるなんて、朝陽さんマジ天使。
「彰」
「なーに、朝陽さん」
「おかわり」
「半分くらい?」
「ん」
「ご飯、卵で包んであげよっか」
「なんだそれ」
「白飯でオムライスして、ハヤシ掛けんの」
「食いてー!」
「じゃ、作ってあげる」
背中に朝陽さんの視線をビシバシ感じながら台所に立つ。
ちょっと緊張しながらだったけど、そのわりには上手くできた。
「すげー……。卵で包むだけで高級感が出るな」
「黄色は鮮やかだからね」
「伊達に金運担ってねーな」
「朝陽さん、物知りだね」
「ん。オレだからな」
朝陽さんはご機嫌でハヤシオムライスを食ってくれた。
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