週刊『彰と朝陽』

しおりを挿む
一緒に買い物─朝陽



 こっちに引っ越してきて、環境が結構変わった。

 その筆頭が買い物環境で、なんでもマンションの近くにスーパーが三つもあるらしー。

 これからハシゴで特売狙いまくるって彰が息巻いてたのが印象的だ。

 で、今日はそのうちの一つで特売があるらしくて、オレはこの辺の地理を覚えるついでに彰と外出した。

 今はその帰り道なんだけど、一人一個しか買えねーもんが二個買えたからって、彰はすげーご機嫌だ。


「朝陽さん、この角曲がったらたい焼き屋があるらしーよ」

「あっ! 食いてーな」

「買ってこよっか。今日はかなり得したし」

「ん」

「つぶあんとカスタードがあるんだけど、どーする?」

「どっちも食う!」

「了解。じゃあ朝陽さんはここで待ってて」


 彰はオレに軽い方の荷物を渡してたい焼き屋に向かった。

 たい焼きはつぶあんしかダメだって奴もいるけど、カスタードも美味いんだぞ。

 ま、つぶあんには負けるけどな。


「朝陽さーん」

「なんだ」

「季節限定のサツマイモもあるけど!」

「よし、それも食う!」

「わかったー!」


 なかなかいーとこじゃねーか。

 駅前も充実してるみてーだし。

 大学まではちょっと遠くなったけど、バイト先は近くなったから許容範囲だしな。


「朝陽さんっ、お待たせ」

「熱そーだな」

「うん。ちょうど焼きたてくれた」

「マジか! 熱いうちに早く帰るぞ」

「待って、コンビニで牛乳買ってく」

「もーないのか」

「うん。たい焼きには牛乳っしょ」

「え……」

「常識だよね」

「初耳だ」

「マジ?」

「須磨家では常識だったのか」

「うん……。ほら、あんこと牛乳って合うよね」

「言われてみればそーだな」

「朝陽さんも試してみてよ」

「ん。わかった」

「よかった!」


 彰はオレにたい焼きの袋持たせて、忠犬みてーにコンビニに走った。

 カスタードとかサツマイモとも何気に合いそーだな。

 オレ、今まで知らなくて損してたかもしれねー。



- 109/320 -

[≪prev | next≫]



 ←Series Top





「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -