週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
泣き顔─彰
ベッドは高級品らしいって大翔から聞いてたから期待してた。
スプリングがよく効いたベッドで朝陽さんと…なんて、当然考えた。
まぁそれはあながち間違いではないかもしれない。
でも天蓋付きなんて、どんな趣味だよ!
ベッドを見て驚く俺と溜め息を吐く朝陽さん。
それを尻目に、大翔がヒラヒラのレースを捲って中を覗き込んだ。
「なかなかいいねこれ。朝陽、俺と一緒に寝てみな…っぐふ…」
固まってたはずの身体が勝手に動いて、大翔を足蹴にしちまった。
「朝陽さんは俺としか寝ないし」
「…たまにはお兄様に譲れよ」
「てめぇはドラム缶でも抱いて寝てろ」
「おい、兄弟喧嘩すんなよ」
「ごめんね朝陽さん、大翔がうるさくて」
「しかたねー魔王だな」
「だよね。いい大人が…まったく」
「ひどいなぁ…っうぅ」
大翔が泣き真似しだした。
ホストな泣き顔とか激しくきめぇ。
「あ、魔王の泣き顔かわいーな。合格だ」
「朝陽さん!?」
「…朝陽っ!好きだ!」
「よしよし」
「大翔っ朝陽さんから離れろ!朝陽さんも騙されないで!」
「彰も後で“よしよし”してやるから我慢しろ」
「朝陽さん……」
後でしてもらえるのはうれしーけど、だからって嘘泣きの大翔に“よしよし”してんのは黙認できねぇよ。
マジで涙出そう。
こんな顔見られたくないから、俺はなんとなくベッドにダイブした。
うん…スプリング、超いー感じ。
早くここで朝陽さんとセックスしてぇ。
その前にシーツとか厚手のタオルケットとか準備しないと。
てか、このカーテンで姫っぽいだけで、外せば普通にいいベッドだよな。
寝たままでそのカーテンを引っ張ってたら、軽い足音が近付いてきた。
「彰っ」
「っぐ…!朝陽さん? いきなり飛び乗ったら危な…」
「こんなとこで寝てると、襲われんぞ」
「誰にだよ」
「オレに」
「…っ」
朝陽さんの柔らかい唇に襲われた。
これなら大歓迎。
侵入してきた甘い舌をたっぷり可愛がってやらないと。
←Series Top
|