週刊『彰と朝陽』

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泣き顔─彰



 ベッドは高級品らしいって大翔から聞いてたから期待してた。

 スプリングがよく効いたベッドで朝陽さんと…なんて、当然考えた。

 まぁそれはあながち間違いではないかもしれない。

 でも天蓋付きなんて、どんな趣味だよ!

 ベッドを見て驚く俺と溜め息を吐く朝陽さん。

 それを尻目に、大翔がヒラヒラのレースを捲って中を覗き込んだ。


「なかなかいいねこれ。朝陽、俺と一緒に寝てみな…っぐふ…」


 固まってたはずの身体が勝手に動いて、大翔を足蹴にしちまった。


「朝陽さんは俺としか寝ないし」

「…たまにはお兄様に譲れよ」

「てめぇはドラム缶でも抱いて寝てろ」

「おい、兄弟喧嘩すんなよ」

「ごめんね朝陽さん、大翔がうるさくて」

「しかたねー魔王だな」

「だよね。いい大人が…まったく」

「ひどいなぁ…っうぅ」


 大翔が泣き真似しだした。

 ホストな泣き顔とか激しくきめぇ。


「あ、魔王の泣き顔かわいーな。合格だ」

「朝陽さん!?」

「…朝陽っ!好きだ!」

「よしよし」

「大翔っ朝陽さんから離れろ!朝陽さんも騙されないで!」

「彰も後で“よしよし”してやるから我慢しろ」

「朝陽さん……」


 後でしてもらえるのはうれしーけど、だからって嘘泣きの大翔に“よしよし”してんのは黙認できねぇよ。

 マジで涙出そう。

 こんな顔見られたくないから、俺はなんとなくベッドにダイブした。

 うん…スプリング、超いー感じ。

 早くここで朝陽さんとセックスしてぇ。

 その前にシーツとか厚手のタオルケットとか準備しないと。

 てか、このカーテンで姫っぽいだけで、外せば普通にいいベッドだよな。

 寝たままでそのカーテンを引っ張ってたら、軽い足音が近付いてきた。


「彰っ」

「っぐ…!朝陽さん? いきなり飛び乗ったら危な…」

「こんなとこで寝てると、襲われんぞ」

「誰にだよ」

「オレに」

「…っ」


 朝陽さんの柔らかい唇に襲われた。

 これなら大歓迎。

 侵入してきた甘い舌をたっぷり可愛がってやらないと。



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