週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
驚き顔─朝陽
「すげー!」
オレ、さっきからこれしか言ってねー気がする。
でもホントにすげーんだ!
まずマンションそのものがでけー。
エントラスってのがあって、上に行くのはもちろんエレベーターだ。
そのエレベーターも頑丈で綺麗だった!
それで極めつけは家の中。
広いリビングの窓に張り付いて、オレは景色を見渡した。
「全体的にキレーだね、朝陽さん」
「ん。眺めもいーぞ!」
「二階と六階じゃ、そりゃ違うよね」
「オレたち、これからここに住むんだな」
「そーだよ。ここが俺と朝陽さんの愛の巣になるんだ」
「お前、よくそんな恥ずかしーことを真顔で言えるな」
「そうだそうだ!キモいぞ彰」
「うっせぇよ大翔!」
「お前がツンドラキャラの予定だったとか、誰も信じねぇ域に来てるぞ!」
「ほっとけ!ヘタレでもいーし!」
「うるせー兄弟だな…ったく」
ギャーギャーと喚きだしたうぜー兄弟は放置して、一人で探検だ。
オレはリビングを出て、手当たり次第にドアを開けていくことにした。
広い廊下!
広い風呂!
広いトイレ!
広いベッ…………。
「なっ、なんだこれー!?」
寝室のドアを開けた瞬間に目に飛び込んできたそれは、オレを充分に吃驚させた。
まさに開いた口が塞がらないってやつだ。
「どうしたの朝陽さん!」
「ゴキブリでも出たか?」
「ちげーよ魔王!」
ベッドだ、ベッド!
いわゆる“お姫様ベッド”ってやつか?
天蓋がついてんだ。
そこからヒラヒラしたレースのカーテンみてーな布が垂れ下がってる。
「うわ…」
彰も驚いて、言葉にならねーみてーだ。
ま、しかたねーよな。
今日からこれに寝るなんて、オレだって複雑なんだから。
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