週刊『彰と朝陽』

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料理の腕前─朝陽



 彰が買ってきてくれたプリンは二種類もあった。

 テレビで見たやつも美味かったけど、和栗ってやつが美味すぎた!


「もう、プリンはデザートなのに」

「美味いもんは腹が減ってる時に食った方が美味いんだぞ」

「そしたら朝陽さんが作った飯はどーなるんだよ」

「オレのご飯は満腹でも美味いだろ」

「当たり前でしょ。朝陽さんの愛情が詰まってるんだし」

「ほらな」

「あ」

「彰は鈍いな」

「ホントだ…」

「ま、オレの料理の腕前は、腹の具合なんか関係ねーぐらいすごいってことだ」

「さすが朝陽さん」

「ん」

「じゃ、肉焼こっか」

「そーだな。オレはミネストローネあっためとく」


 冷蔵庫からボウルを出す彰を見ながら、ミネストローネの鍋を火にかける。

 オレもゆっくりやれば普通にできるけど、やっぱり料理の腕前は彰の方が確実に上だ。

 肉を焼くだけっつっても、オレがやるより彰のが美味そーに焼くし。

 あの微妙な焦げ目が違うんだよな。


「朝陽さん、この肉わりとあるね」

「ん。冷凍庫の袋にいっぱい入ってたんだ」

「え…まさか全部使った?」

「今日の彰は朝からバイトで疲れてるからな。スタミナ付けてやんねーと」

「うん…そーだね…」

「このミネストローネも具だくさんだぞ」

「や、野菜がたっぷりだね」

「肉ばっかだと栄養が偏るだろ。全部切るのにすげー疲れた」

「…だから昼寝してたんだ」

「そーだ。まだちょっとねみー…」

「朝陽さん、料理中に寝ないでよ」

「っ、大丈夫だ!」


 ホントはちょっとやべーけど、今夜は彰とセックスしてーから耐える。

 具の野菜が多すぎて、ミネストローネより野菜のトマト煮の方がしっくり来そうな鍋の中身を掻き回しながら、オレは襲い来る睡魔と戦い続けた。

 途中でご飯が炊けたってアラームが鳴って、寝そーになってたオレを助けてくれた。



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