週刊『彰と朝陽』

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ご飯にする?お風呂にする?それとも…─朝陽



 昼寝から完全に起きたオレは、彰にエプロン姿を見せ付けるようにその場でクルッと一回転してやった。

 スカートみてーに裾が長くて、どう見ても女物のエプロンだ。

 たぶんTシャツ脱いだら、バカな彰は裸エプロンに見えるっつって鼻血出すだろーな。


「朝陽さんに超似合ってる」

「新妻みてーだろ」

「うん、可愛すぎ」

「バカ。オレは男だろーが」

「男でも世界一可愛い俺の嫁だし」

「可愛くねーよ」

「かわいーの。俺、朝陽さんのエプロン姿でもうやべぇし」

「は…?」

「え」

「お前、ホントに変態だな」

「嫁に欲情すんのは正常だから!」

「そか。じゃあ定番のアレ、やってやる」

「なにそれ?」


 オレは空気を作るために、まず彰に抱き付いてやった。

 新婚夫婦の気分だ。


「おかえり、彰」

「た、ただいま…」

「今日は彰の好きな、塩だれに漬け込んだ肉があるんだ」

「うん」

「いー具合で味が染みてるはずだ」


 その肉を見せてやるために、オレは彰を引っ張って冷蔵庫の前に移動した。


「彰」

「なーに、朝陽さん」

「ご飯にする? お風呂にする?」

「そ、その台詞はっ!」

「それとも………あっ!なんだこれ!」


 オレにする? って言う前に、オレは冷蔵庫に入れた覚えのない箱を見付けた。

 ケーキが入ってそーな箱!


「プリンだよ」

「もしかして、昨日のテレビのか!」

「朝陽さんのために買ってきたんだ」

「うれしー!」

「朝陽さんが喜んでくれてよかった。それで、さっきの答えはもちろん朝陽さ」

「まずプリンだな!」

「いや、俺はまず朝陽さんがいーな」

「ダメだ」

「えー!」

「オレ、今はプリンが食いてー」

「俺が朝陽さんを食えるのはいつ?」

「寝る前だな。今日から一緒に寝るんだろ」

「うん!」

「だから今はプリンだ!」


 オレは張り切って箱に貼ってある賞味期限シールを剥がした。



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