週刊『彰と朝陽』

しおりを挿む
うそついてたんだ─朝陽



 膝の上にある彰の髪を撫でてたら、なんか甘やかすのもいーなと思えてきた。

 こんなのオレらしくねーけど、たまには新鮮でいーだろ?


「朝陽さん…」

「オレならまだ平気だ」

「違うんだ。そのAVのことなんだけど」

「今日は涼しいから、ご飯食ったらしよ。セックスで甘やかすってよく…」

「そうじゃなくて。それ…俺の趣味じゃないんだ」

「えっ…」


 彰が起きて、正座であのAVを指差した。


「俺は甘えられる方が好き。だから願望としては、デレデレ朝陽さんに甘えて欲しい」


 てことは、彰はオレに甘えたくなんかないのか…?

 ズキッて胸が痛くなる。

 オレ、最初はからかうだけのつもりだったけど、彰が本気で喜んで興奮までしたからがんばろうって思ったのに。

 嘘…吐いてたんだ。


「あ、彰のバカ!!」

「朝陽さん!?」

「うそつき」

「え」

「オレ、嘘吐きは嫌いだ」

「待って朝陽さん、聞いて!」

「…………………」

「それはダチが勝手に押し付けてきたDVD。でも朝陽さんが可愛くて、ホントに朝陽先生が食べたくなったから説明しなかったんだ。まさかパッケージの裏にそんなことが書いてあるなんて思わなかった。ごめんなさい」

「………ホントか?」

「ホント!先生でも生徒でも、朝陽さんを食べたい気持ちは年中無休で常に持ってる!」

「あき、ら…」

「朝陽さん…!」

「お前、本気で四六時中発情してるんだな」

「あ、うん、そうなるかな」

「変態の中の変態だな」

「う…」

「でも嘘吐きより変態の方が好きだ」

「俺は朝陽さんならなんでも!」

「どんなオレでも好きか」

「うん!大好き!」

「なら、デレデレしなくてもいーよな」

「え」


 彰は一瞬固まった。

 ちょっと青くなって、自分が言ったことを小声で反芻してやがる。


「デレデレした朝陽さんは、もっと好き…」

「オレ、欲張らねーで今の彰の気持ちを大切にしよーと思う」

「そ、そうですか」

「ん」

「じゃあデレデレな朝陽さんは…?」

「気が向いたらな」


 オレを騙しといてこれだけで済むんだから、ありがたく思え。



- 94/320 -

[≪prev | next≫]



 ←Series Top





「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -