週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
うそついてたんだ─朝陽
膝の上にある彰の髪を撫でてたら、なんか甘やかすのもいーなと思えてきた。
こんなのオレらしくねーけど、たまには新鮮でいーだろ?
「朝陽さん…」
「オレならまだ平気だ」
「違うんだ。そのAVのことなんだけど」
「今日は涼しいから、ご飯食ったらしよ。セックスで甘やかすってよく…」
「そうじゃなくて。それ…俺の趣味じゃないんだ」
「えっ…」
彰が起きて、正座であのAVを指差した。
「俺は甘えられる方が好き。だから願望としては、デレデレ朝陽さんに甘えて欲しい」
てことは、彰はオレに甘えたくなんかないのか…?
ズキッて胸が痛くなる。
オレ、最初はからかうだけのつもりだったけど、彰が本気で喜んで興奮までしたからがんばろうって思ったのに。
嘘…吐いてたんだ。
「あ、彰のバカ!!」
「朝陽さん!?」
「うそつき」
「え」
「オレ、嘘吐きは嫌いだ」
「待って朝陽さん、聞いて!」
「…………………」
「それはダチが勝手に押し付けてきたDVD。でも朝陽さんが可愛くて、ホントに朝陽先生が食べたくなったから説明しなかったんだ。まさかパッケージの裏にそんなことが書いてあるなんて思わなかった。ごめんなさい」
「………ホントか?」
「ホント!先生でも生徒でも、朝陽さんを食べたい気持ちは年中無休で常に持ってる!」
「あき、ら…」
「朝陽さん…!」
「お前、本気で四六時中発情してるんだな」
「あ、うん、そうなるかな」
「変態の中の変態だな」
「う…」
「でも嘘吐きより変態の方が好きだ」
「俺は朝陽さんならなんでも!」
「どんなオレでも好きか」
「うん!大好き!」
「なら、デレデレしなくてもいーよな」
「え」
彰は一瞬固まった。
ちょっと青くなって、自分が言ったことを小声で反芻してやがる。
「デレデレした朝陽さんは、もっと好き…」
「オレ、欲張らねーで今の彰の気持ちを大切にしよーと思う」
「そ、そうですか」
「ん」
「じゃあデレデレな朝陽さんは…?」
「気が向いたらな」
オレを騙しといてこれだけで済むんだから、ありがたく思え。
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