週刊『彰と朝陽』

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こっちにおいでよ─朝陽



 彰が隠し持ってたAVの裏ジャケに『ずっと、先生に甘えたかったんだ』って書いてあった。

 まさか彰がカテキョに甘えるのに憧れてるとは思わなかった。

 ま、あいつは末っ子だからな。

 見た目に似合わねーけど、やっぱ甘えんぼなのかもしれねー。

 ここは一つ、オレが甘えさせてやるか!

 たまには彰のためにがんばるのも悪くねーだろ。


「朝陽さん、そろそろ切り上げよ」

「ん」

「ちょっとゴミ、片してくるね」

「わかった」


 いるもんといらねーもんを仕分けて、いるもんを箱に詰める作業をしてたんだ。

 そのいらねーもんが詰まった袋を持った彰が部屋を出てった。

 それを見送ってから、オレは一人で思考を巡らせる。

 さて、どう甘やかすか…だな。

 普段オレがなんだかんだ甘えてるから、改めて考えたらわからねー。

 とりあえず膝枕してやるか。

 いつもオレがされる側だけど、彰の硬い枕も悪くねーからあいつは歓喜するはずだ。

 なにしろオレの膝枕なんだからな。


「ただいまー朝陽さん」

「おかえり」

「あれ? アイス食わねーの?」

「あっ!食う!」

「忘れてた? かわいーな」

「う、うるせー」


 彰の甘やかし方考えてたんだ。

 ……なんて、オレが言えるわけねーだろ。


「今日はなにがいー?」

「バニラバーがいーな」

「はい。あーん」

「あむ」

「美味し?」

「ん。美味ぇ」

「よかった」


 なんかオレが甘やかされてるような気がするよな?

 べ、別に俺から甘えてるわけじゃねーんだぞ。

 彰が勝手にオレの世話を焼くだけだ。


「あふぃら」

「ん?」

「ここ」

「脚が痛い?」

「ちげーよっ」

「あぁほら、食ってから喋ろ? 垂れるよ」

「んっ…ごめ」


 彰の親指に口元を拭われて、オレは慌ててバニラバーをくわえ直した。

 なんか情けねーな…。

 食うのも遅くて、とっくに食い終わった彰がオレを見てるし。

 とにかく早く膝枕してやりてーから、オレはアイスを食うことに全力投球した。


「…食ったっ」

「ゴミ貸して」

「ん」


 ……おい!ん、じゃねーよ!

 これも甘えてるうちに入るだろオレ!


「朝陽さん、夜飯はなにがいー?」

「彰、あのっ」

「なーに?」

「こっち来いよ!」


 やっと言いたい台詞が言えた。

 甘やかすのって意外に難しーんだな。



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