週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
やっとみつけたよ─彰
「フフフ…」
「?」
「ははっ!よぉーっし!」
「朝陽さん?」
もうすぐ待望の引っ越しの日。
というわけで最近、朝陽さんと少しずつ荷物の整理をしてる。
普段使わない物を先にあっちへ送って、当日は大翔に車を出してもらって済ませるつもりだから。
そんな荷物整理の最中、俺の背後で女の子座りして手伝ってくれていた朝陽さんがいきなり笑いだした。
「彰!」
「なーに?」
「やっと見付けたぞ!」
「なにを?」
「彰のひ・み・つ」
「秘密…?」
「これを見てみろ!」
「そっ…それは!」
去年、ダチが押し付けてきたAVだ。
適当にどっか突っ込んで、そのままにしてたやつ。
中身は観てないから出来の方は知らねぇ。
朝陽さんはそれを誇らしげに掲げている。
「お前、こんな趣味があったんだな」
「それはダチが」
「言い訳はいらねー!オレは寛大だからな」
「…………………」
「彰は家庭教師が好きなのか」
「いやだから俺の趣味じゃ…」
「彰クン、100点取れたらご褒美にイイコトしてあげる」
「え」
「…って感じか?」
趣味じゃないのに…。
朝陽さんが言うと何故かそそる。
「朝陽先生…」
「なんだ」
「好きです」
「ん」
「朝陽先生を食べたいな」
「ご褒美は働いてからだ」
「え、いいの?」
「欲しいんだろ?」
「うん…欲しい!朝陽先生!」
「たまにはオレが、彰の好みに合わせてやんねーとな」
マジで!
それなら妹モノだったら“お兄ちゃん”って呼んで甘えてくれんの!?
最強のデレ朝陽さんになってくれる!?
てかやべぇよ!
そんなことになったら、鼻血で大量出血して輸血が必要になる!
輸血用の血液が慢性的に不足してるっていうのに…!
「おい…」
「な、なーに」
「あんまり興奮しすぎんなよ」
「うん、がんばります!」
朝陽さんは、俺が願望を叶えられて興奮してると思ったみたいだ。
妹で妄想してたなんて知れたら…絶対張り倒されるな。
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