週刊『彰と朝陽』

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とっておきの存在─彰



 クッションからカーテン、ペアの食器に枕やベッドカバーまで買ったら、意外に金が掛かってしまった。

 でも物件に金が掛かってないから、あんまり痛くない。


「結構疲れたな」

「うん。夜飯には早いから、どっかで休憩する?」

「そーだな。ご飯は帰りに途中下車してもいーな」

「ちょっと遠いからね。じゃ、俺に任せて」

「なにをだ?」

「休憩する店。朝陽さんを連れていきたい、とっておきがあるんだけど」

「自信満々だな」

「かなり!朝陽さん絶対に喜ぶし」

「楽しみだな」


 俺は朝陽さんの手を引きたいところをグッと我慢して、少し前を歩いた。

 キョロキョロしながら後ろを歩く朝陽さんがかわいー。


「朝陽さん」

「ん…着いたのか?」

「うん。見て、あの人のケーキ」

「すげー!でけーな!」

「並ぶけど、いー?」

「待ってる間に選ぶ!」

「あはは。かわいーな」

「彰は何にするか決めてんのか?」

「朝陽さんが二つ決めて、わけて食おーよ」

「わかった!オレが美味いやつ選んでやる」


 目をキラキラさせた朝陽さんは、張り切ってケーキのメニューを捲りだした。

 なんでこんなにかわいーわけ?

 さりげなく朝陽さんの腰に腕を回してみても、ケーキの写真に夢中で気付きもしない。

 マジでパティシエ目指したくなってくる。

 今日は朝陽さんにデコレーションしよっかとか言ったりして!

 ケーキから抉ったクリームじゃなくて、俺が泡立てた生クリームを朝陽さんのイチゴに塗って食べたい…。

 って、生クリームぐらい今の俺でも泡立てられるな。

 でも一パックは多いから…今度クリーム系の飯でも作るか。

 余ったから泡立てて食おーよ、なんて誘えばイケるはず。


「「よし!」」

「ん? 被ったな」

「あっ…」

「どーした?」

「今度、グラタンとかドリアとかクリーム系の飯でも作ろうかと…」

「グラタンいいな。好きだ!」

「そっか。よかった」

「オレはケーキが決まったんだ」

「じゃあそれ食ったら展望台行こーね」

「ん。楽しみだな!」


 なんとかごまかせた。

 俺はグラタンのレシピを思い浮かべながら、甘さ控えめのでっかいケーキを食べた。

 朝陽さんの美味しい時の笑顔が最高に可愛かった。



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