週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
まるで氷みたいな─朝陽
買うクッションを決めて彰を探してたら、すげーキモい彰を見付けてしまった。
犯罪級に顔が弛んだ、変態妄想中の彰。
まぁ抱き締めてる物でなに考えてるかだいたいわかるけど、あれはヤバい。
セックスにバリエーションをつけるのも悪くねーと思ってるし、とりあえずそのエプロンは彰に買わせることにした。
あんな言い方したけど、彰の誕生日にでもやってやるつもりだ。
「朝陽さん」
「なんだ、妄想彰」
「もう…カーテン選ぼーよ」
「ん。任せろ」
「まず色から絞らないと」
「彰は黒とか青が好きだよな」
「そーだね。寒色系が好き」
「お前の中には変態マグマが煮えたぎりながら渦巻いてるのにな」
「言っとくけど、こんなの朝陽さんにだけだからね!? 俺はすげぇ冷たい男だって有名だし」
「まるで氷みたいってか」
「あれ、聞いたことあんの?」
「まーな。大学ですれ違う女がたまに喋ってる。オレには信じられねーけどな」
「朝陽さんに冷たくするなんてありえねぇ」
「そか」
「あ、この赤寝室によくね?」
「お前、さっき寒色系が好きだって確認したよな」
「でも欲が減退するじゃん」
「彰はこんなカーテンでオレの性欲が減退するって心配してんのか」
「そ、そんなことは」
「あるんだろ?」
「…はい」
「素直に認めたから許してやる」
「よかった!」
世話が焼ける男だ。
とりあえずオレも青が好きだから、青系がいーんだよな。
ひたすら並んでるカーテンのサンプルを順番に見ていく。
「あ。これがいーな」
「キレーな青だね」
「これならなんとなく暖けー青だろ」
「うん、寒くはないかも。さすが朝陽さん」
「だろ。オレが選ぶんだからいいに決まってる」
「じゃあこれ、後で注文しよっか」
「ん」
カーテンはサイズがあるから、一旦保留にして別の場所を見に行った。
そしたら彰が食器をペアで揃えたいとか言い出すから、また張り切って選んでやった。
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