週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
だって退屈だもん─彰
朝陽さんは今、一生懸命クッションを品定めしてる。
揉んだり叩いたり撫でたり…。
テレビ観る時に抱き締める物だから、特に大事なことらしい。
クッションじゃなくて俺に抱き付いて見ればいーのに。
朝陽さんをクッションに盗られたみたいで、すげぇ悔しい。
暇だから近くにあったキッチン用品を見てたら、エプロンのラックを見付けた。
あ、このエプロンかわいー。
女物だけど朝陽さんに似合いそう。
いわゆるエプロンドレスってやつだな。
こんなの着た朝陽さんに、お出迎えとかされたい。
『おかえり、彰』
『ただいま朝陽さん……え!?』
『今、ご飯作ってっから』
『ちょ、待って。そのエプロンの下、まさか裸…』
『…今日はあちーし、たまには彰にサービスしてやろーと思って』
『マジで!? 俺、飯の前に朝陽さんを食いたいな』
『ダメだ。鍋を火にかけっぱなしなんだ』
『じゃあ邪魔しないように食べる』
『っあ…、もう、ダメだって』
『いいじゃん。朝陽さんの乳首、エプロンの上からでもわかるぐらい硬くなってるよ』
『彰のバカ…ぁ、危ね、からっ…』
『ほら、火は止めたよ。だからベッド行こ』
『ん…。じゃあ抱っこして』
『喜んで』
なーんて!
やっべ、鼻血出そう!
こっそり買って朝陽さんにプレゼントしよーかな?
5%ぐらいの確率で妄想が実現するかもしれねーし!
「おい」
「っ!?」
「なにエプロン抱き締めてニヤニヤしてやがるんだ」
「あ、朝陽さんっ…」
「お前、想像を絶する変態だよな」
「そんなことない!男のロマンだし!」
「…………それ、誰に着せるつもりだ?」
「朝陽さん…です」
「そか。オレの裸エプロンが見てーのか」
「見たいというか、食べた…ぐふッ」
「ここは外だ!店だ!妄想は家でやれッ!」
「ご、ごめんなさ…い」
だって退屈だったんだもん!なんて言い訳をしたら、また怒られそうだな。
朝陽さんが俺を放置したからなのに…。
「これはお前がシワにしたんだから、ちゃんと買い取れよ」
「うん…」
「気が向いたら着てやらなくもねー。あと、エプロンの下は更に低確率の気まぐれだ!」
「……朝陽さん…!大好き」
「ん。うぜぇから元気出せ。あと、もう売り物で妄想すんな」
「わかった!」
相変わらず朝陽さんはツンデレだな。
そんなとこが超かわいーんだけど。
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