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大型犬とオレ(side 朝陽)

□誕生日プレゼント


 明日献血行くか。


「朝陽さん、明日献血デートしない?」

「やべ、オレも今誘おうと思ってた…!」

「なにそれ、俺たち超ラブラブじゃん」

「婚約指輪はハリーウィンストンにしてね」

「いつ結婚できるかな、俺たち…」


 彰はケータイで献血できるとこ探しだした。

 オレはちょっと暇だから、彰に声掛けてコンビニ入った。

 誕生日だしハーゲンダッツ奢ってやるか。

 コンビニ出てもまだケータイ弄ってやがるから、うなじにハーゲンダッツ押し付けてやった。


「つめてっ!」

「オレに構え」

「ん、なにこれ、…ハーゲン様!」

「オレ様の奢りだ。ありがたく思え」

「須磨彰、感激の極みでございます」


 尻尾があったらブンブン振ってるだろこいつ。喜びすぎ。


「朝陽さん、あーん」

「んむ」

「おいし?」

「うん。ん、口開けろ」


 オレも彰に食わせてやった。極上らしい。さすがオレが選んだアイス。


「やっぱ焼肉食ったらデザートはアイスだな」

「なんで店で頼まなかったの朝陽さん」

「店のアイスは味ふつーなのに少なくて高い」

「ちょ、なにその中途半端な遠慮」


 うるさいからアイス突っ込んでやった。

 そしたら彰も食わせてきた。

 結局お互い、相手のアイスばっか食ってた。


 いきなり尻ポケットのケータイがブルった。


「ん」


 メール開くと、彰が捨てられた犬みたいな顔してた。

 タツヤはねーよ。

 やっぱ違った。小型犬からだった。

 今日楽しかったからか、タツヤじゃなくてもヘコんでないオレ。


「タツヤじゃねぇから」


 可哀想だから言ってやったらホッとした顔になった。

 でも小型犬だぜ? 朝陽欲しいって五文字だぜ?

 なんかムラッと来たから、後で行くって返事しといた。

 彰と駅で別れて、オレは小型犬とこ向かった。



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