週刊『彰と朝陽』 ■しおりを挿む
うとうと─朝陽
気持ちよかったぁ…。
やっぱり、抱き締めて寝ないって条件だけにすっかな。
多少眠れるようになれば、それでいーし。
てか、ねみーんだけどやっぱ彰が欲しくなってきた。
睡眠欲より性欲なんて、オレらしーだろ。
オレは重い目蓋をそのままに彰の股間を撫でた。
「朝陽さん?」
「んー…」
「眠いの?」
「ん。欲しい…」
「どっち?」
「これ…ちょーだい?」
「…!朝陽さんっ」
「ベッドがいーな…」
「うん、運ぶね」
彰がオレを持ち上げようとした瞬間、床に放置してたオレのケータイがバイブですげー音を鳴らした。
フローリングにバイブだからうるせー。
「朝陽さん、ケータイ」
「めんでー」
「げ、大翔かよ」
「魔王!? 取れ」
「なにその反応。傷付く」
「バカ、引っ越し先の連絡だ」
「マジで?」
「彰が出ろ」
忘れてたけど、今日電話するってメールが来てたんだった。
オレはダルいから、それを彰に託した。
「もしもし…。俺じゃ不服かよ!」
いきなり兄弟喧嘩かよ。
しょうがねーなこいつらは。
「…いいのかよそれ」
てか、彰の腕枕ってやっぱ気持ちいーな。
「条件が良すぎて怪しい」
イッた直後は性欲が勝ってたけど、だんだん睡眠欲が追い上げてきた。
オレから誘ったから起きてなきゃなんねーんだけど…。
「あ? それならいいんだけど」
ダメだ…。
なんか目覚ましがほしー。
「朝陽さん? なんか寝そうなんだ。俺が毎日抱き締めて寝てたら、暑くて寝不足になったみたいでさ」
「あ、きら…」
「ん? なーに、朝陽さん」
「キス」
「え」
「して」
「ちょ、朝陽さんマジで?」
「んー、早くしろ」
「喜んでッ」
『おい!俺との電話中にイチャつくな!』
電話越しにわめく魔王がうぜー。
彰の顔が近付いてきて、舌が絡み合う。
睡眠欲が性欲に白旗を揚げたところで、彰を解放してやった。
「もーいいぞ」
「すぐ終わらせるから待ってて」
「ん」
オレは彰の股間を擦りながら、魔王との電話を再開した彰の横顔を見た。
反応がおもしれーからフェラしようかと思ったけど、身体が重くて動かねー。
目蓋が重くて、彰を見て…られ……ねー………。
やっぱり、こんなオレでも睡眠欲が一番強かった。
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