純愛宣言forever

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◇side 正太郎



 アルが世界的に有名な大富豪の家の長男だっていうのは、本人から聞いたから知っていた。

 アルの本当の姓である“クリフォード”は、ニュースをあまり見ない僕でも知っている名前だから、相当なものだろうって想像もついていた。

 日本のマンションや秋に行った別荘の豪華さ、そしてお正月に自家用ジェット機で帰ってきた辺りからも、充分に思い知らされていたはずだった。

 でも、僕はまだまだ甘かったみたい……。




 父さん、母さん。

 僕の恋人は、本物の王子様よりすごいかもしれません。






 …………なんて。

 本物の王子様なんか知らないんだけどね。

 僕は与えられた部屋をぐるぐると歩き回った後、備え付けられた大きすぎるベッドに仰向けで寝転がった。

 完全にベッドに乗るには靴を脱がないといけないから、膝から上だけ。


「……はぁ。天井が高いなぁ」


 感嘆の溜め息と共に独り言を漏らすと、口の中の塩飴がコロンと音を立てた。

 広いお風呂にトイレ、簡単なリビングっぽい部屋に続き間の寝室。

 これらが僕に与えられたゲストルームの間取り。

 窓から見える大きな庭は、森林公園を思わせる風景だ。

 木々の合間に通る遊歩道を照らす外灯の装飾は、一つ一つが手作りなのか、とても繊細で。

 高級ホテルの一番高い部屋みたいだな、なんて思いながら、僕はここに来るまでのことを思い返した。




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