年末年始 Extra サプライズ

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「琳、ただいま」

「はぁ!?」


 信じられへん光景や。

 カーッと首から上、全体がいっぺんに熱くなった。

 俺な…どんな顔で出迎えようとか、最初はどんな台詞がええかなとか、電車の中でいろいろ考えてたんや。

 待ち合わせの場所確認したら、一回トイレ行って髪型もちゃんとやって、後はなんかぬくい飲み物でも買うといたろかなーとか。

 待ってる間暇やったらあかんから、ちっちゃい参考書まで持ってきたんや。

 せやのに…。


「びっくりした?」


 待ち合わせ場所に来た俺を、えらい嬉しそうな顔した陽平が、逆に出迎えよったんや!

 まさにこれが、サプライズってもんや。


「わざと時間遅く言うたな!アホやろ!」

「新年早々、アホだなんて失礼だね」

「せやかて俺なぁ…」

「わかってるよ。ありがとう」


 ほんまにわかってるんか。

 待ってる間のドキドキとか、歩いてくる陽平がかっこよくて俯いてしもたとか、そういう甘酸っぱいもんを味わいたかったのに。

 不意打ちで会うてしもたんが恥ずかしかったから顔を背けたら、冷たい手で無理やり正面に向けられた。


「よぉへ…」

「ただいま」

「…おかえり」

「よし、じゃあ行こうか」


 なにが、よし、やねん。

 俺の緊張とか気遣いとか、全部無駄にしやがったくせに。

 クッキーかて渡さなあかんねんけど、もうホテルに着いてからでもええか。

 って、そのまま行かせたらあかんやん!




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