帰国した恋人との年始の過ごし方 ■しおりを挿む
◇Side 正太郎
嬉しいお知らせを受けてから迎えた新年は、本当におめでたかった!
僕が急に元気になったもんだから、みんなちょっとびっくりしてたけど。
でも顔色が良くなった僕とは逆に、琳は何故か青くなって姉ちゃんをずっと追い掛け回してた。
何があったのかはわかんないけど、今の僕はアルに会うことで頭がいっぱいだ。
アルが帰ってくる日が二日も早くなったせいか、急に時間の流れを早く感じるようになった。
まず元日は琳と姉ちゃんとで、近くの神社に初詣に行ってきた。
琳が一生懸命合格祈願をしてたから、僕も琳のことをお願いしてみたりして。
って、僕も四月から受験生になるのか…。
琳みたくいい所を狙うつもりはないけど、勉強は得意じゃないからなぁ。
今年はアルや牧野さん、琳にも勉強を教わることが増えるかもしれない。
次の二日は出掛けなかったけれど、おばさんたちや爺ちゃんと喋ったり婆ちゃんの手伝いをしてたら、あっという間に終わった。
そして、今日はとうとう帰る日だ。
婆ちゃんと爺ちゃんはちょっと寂しそうだったけど、またお盆に来るって言ったら笑ってくれた。
お盆ってアメリカは関係ないのかな…?
もしそうなら、アルや牧野さんも連れてきたいな。
アルが日本の夏は暑いってぼやいてたから、ここに来れば少しは涼しく過ごせるかもしれない。
「琳、お母さんいてへんで寂しいからって、泣いたらあかんで」
「泣くか!子供やないんやで!」
また、琳とおばさんの漫才みたいな会話が始まった。
「ほんまに…ピーピーうるさい子やな。ここは、静かに涙するシーンやねんで」
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