傍にいない恋人との年末の過ごし方 ■しおりを挿む
◇Side 琳
クリスマスの二日前。
アルと陽平がアメリカに帰るって聞いた俺は、正太郎と一緒に空港まで見送りに来た。
傍で繰り広げられる、壮大なラブストーリーのワンシーンのような光景が目に痛い。
知り合いやなかったら通報したくなるぐらい、ベタベタしてる。
それを視界に入れんようにしながら、俺も陽平とお別れの挨拶をしていた。
「あんまり夜遅くまで勉強しないで、睡眠もしっかりね」
「うん、ありがとう」
陽平は、いつも時間を忘れて勉強する俺に、もう切り上げておやすみっていう電話をほぼ毎日してくれてた。
でも、アメリカと日本には時差がある。
ちょうどその時間は朝の忙しい時間と被るから、陽平は電話できひん。
「あと、これを」
陽平は、小さな紙袋を俺に差し出した。
「なにこれ?」
「俺がいいよって言うまで開けないで。日本時間で29日の夜に電話するから」
「わかった…」
紙袋の中には、ラッピングされた箱が三つ入ってる。
大きさや重さで中身を判別するんは無理そうや。
気になるけど、勝手に開けたら怒られるんやろな。
でも実は俺、こないだも陽平にプレゼントもろたんや。
Pt1000のシンプルなクロスネックレス。
陽平は安物やって言うてたけど、チェーンもプラチナやから高いんやろな。
「陽平…俺、こんなようけプレゼントもろてええんかなぁ」
俺はまだ、陽平にお返しできてへんねん。
なんかできたらええんやけど。
「琳は気にしなくていいよ。俺がしたくてしてるんだから」
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