BT! Extra −陽平のお仕置き− ■しおりを挿む
俺は土曜日の朝、車で迎えに来た陽平に正太郎と一緒に二人のマンションに連れられてきた。
陽平に会った瞬間はめちゃくちゃ嬉しかったんやけど、俺は一応お仕置きされる身や。
あんまり浮わついた顔なんかしてるわけにいかん。
お昼が近いから先にご飯を食べようって話になって、俺と正太郎はダイニングに案内された。
陽平が作る美味すぎるご飯は、お仕置き前の俺の緊張した胃を優しく満たした。
特に“レンティルと厚切りベーコンのスープ”は美味くて、陽平が許さんでも世間に許してもらえたような不思議な気分になれた。
ご飯が終わったら、アルにクラシックコレクションを見せたるって言われて、俺は一緒にリビングを出た。
「琳がクラシック音楽を好むなんて、意外でしたよ」
「せやろ。CD聴いて喜んでるだけやから、高尚な趣味やろって言うてるような奴とは合わんやろけどな」
「クラシック音楽を高尚だなんて言って壁を作るのは、私も嫌いです。…さ、この部屋です」
アルが、開いたドアの中に招き入れてくれた。
すごい!
音源の宝庫っていうか…とにかくすごい!
「暫くここで見ていてください。家にあるものなら、なんでも借りていってくださいね」
アルはそう言い残して、なんや準備があるって言うて出ていった。
アルはええ奴や。ほんまに正太郎の彼氏に相応しい男やで。
まず借りて帰るCDを選んで、そのうちに帰ってきたアルと興奮しながら音楽について語り合って…。
今度、この家にある最高の設備で聴かせてもらう約束までして…。
とにかく最高の気分で俺はリビングに戻った。
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