僕の所有者宣言

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「貴方が好きです、可愛い人」


 これが女の子だったらなんて、思う暇というか…余裕がなかった。

 そもそも、可愛い人なんて言われた時点で、相手が女の子でも微妙な気分になる。

 びしばしと遠慮なしに注がれる視線。

 何故かと言えばここは教室。朝のSHRの時間。

 僕の右手は掬い上げるように捕らえられ、じっと碧い瞳がこちらを見つめている。

 その瞳が僅かに細まって、整った顔立ちに綺麗な微笑みが浮かんだから、僕は堪らず目を逸らした。

 僕の意思とは関係なく持ち上がる右手。

 手の甲に微かに湿った柔らかいものがふわりと触れた瞬間、教室内が悲鳴とか携帯のカメラの音で満たされた。

 思わず右手とそいつを凝視すると、やけに流暢な日本語を喋る金髪碧眼の正真正銘外国人は、僕の右手をそっと下ろして指定された席に着いた。

 なんだこの変な外人。

 それが僕、御厨(みくりや)正太郎の、アルブレヒト・マイヤーへの第一印象だった。



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