彼の恋人宣言

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「僕たちって、ホラーハウスの客引きだよね?」

「ええ、そう伺っています」


 文化祭まであと十日と迫ったある日の放課後。

 ホラーハウスで使う小道具をせっせと作っていた僕たちは、役作りよろしく!と演出係に軽快に肩を叩かれて、一枚のプリントをそれぞれ受け取った。

 この内容を僕はどう捉えればいいんだろう。

 “成長しきっていない”は僕の真っ平らな胸へのフォローかなーなんて。

 もう女装に決まっていることには異議を唱える気はない。

 だって金髪碧眼のイケメンヴァンパイアと並ばされるんだよ?

 いろんな人の目に晒されるのに、男のままでいるほうが惨めになりそう。

 ウケ狙いの女装のほうがまだましだよ。


「…納得し難いですね」


 やっぱり役作りとか意味わかんないよね。

 ぜひ、勇気のない僕の代わりにこんなの必要ないだろう、と突っ込んでほしい。


「私は、正太郎とカップル役だからと聞かされて、快く引き受けたんです。
 正太郎に嫌われている設定など、納得できるはずがありません」


 いや、問題はそこではないのだよ!アルブレヒトくん。

 なんでチラシやプラカード持って宣伝に出たり、教室の前で道行く人に声を掛ける係に、まるで創作劇のプロローグみたいな設定があるんだよ。

 って、よく読んだら僕は話せない設定になってるし。

 客引けないよ、何がしたいのうちのクラスの女子。




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