純愛宣言forever ■しおりを挿む
「ええ、奥にはバラ園もあります。ちょうど季節ですので、綺麗に咲いているでしょう。夏になると、屋敷の裏側にあるプールでも遊べますよ」
家の庭にバラ園とプールだって!?
アルの家って僕の想像なんかより、遥かにすごいんだ……。
秋に行った別荘みたいなのを想像していたから、今更だけど緊張してきた。
武者震いというより恐怖に近い震えが僕を襲う。
「大丈夫です。正太郎には私がついていますから」
「うん……」
震える手を握ってくれるアルの体温が心地よくて、僕は気持ちを落ち着かせるために軽く目を瞑った。
いくらか深呼吸を繰り返して、アルの体温に意識を集中させる。
すると、我に返ったらしい琳が隣で「あっ」と声を上げた。
牧野さんに注意されたからかボリュームは小さいけど、感嘆の声が断続的に聞こえる。
「おぉ、すご。でっかいなぁ! ……うわ、噴水やっ」
でかいのはたぶん家だろう。
それはまぁいいんだけど、噴水っていうのが気になる!
車が停まるまで目を瞑っていたかったのに、琳のバカ!
僕は目蓋を震わせながら薄く開いて、琳がへばりついている方の窓の外を見てみた。
「うわあ……!」
噴水がすごく大きい!
ていうか、家が、家がヤバい!
邸宅としか言いようがない大きな建物の中央に、大きすぎるけれど建物のサイズに見合った扉がある。
玄関テラスはカフェでも開けそうなぐらい広くて、そこに上がるための広い階段も含めてすべてがピカピカに磨かれた大理石。
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