純愛宣言forever ■しおりを挿む
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アルと牧野さん、それに琳と僕を合わせた四人は、普通の定期便じゃなく、アルの自家用ジェット機でここ──カリフォルニア州サンディエゴ市にやって来た。
長いゴールデンウィークを利用してやって来たこの旅行は、琳が言うには時差が絡んで訳がわからない日程になっているらしい。
アルが「正太郎は私の傍にいるだけでいいのです」って言ってたから、僕は何泊何日とかいう言葉は聞いていないんだ。
ただ、アルの家で三回泊まるっていうことだけは把握しているけれど。
ちなみに目的は観光じゃなく、僕と琳がそれぞれの恋人の家族に紹介される……っていう、緊張満載の内容。
四月三十日の夜に出発したのに同じ日の夕方(!)にサンディエゴ国際空港に降り立った僕たちは、迎えに来ていた車に乗り込んでさっそくアルの実家に向かうことになった。
「時間が巻き戻ってるって、実際体験したらほんまに変な感じやな」
車が走り出していくらか経った時。
僕の右隣に座る琳が、まだ明るさが残る外を見ながらぽつりと呟いた。
「うん。僕、どうなってるのかよくわかんないんだけど……」
海外なんて初めて来たから、僕にとって時差なんて本当に無縁なものだったんだ。
計算なんて当然、したことがない。
一体なにがどうなったら、長い時間をかけて移動したのに時間が戻るのか。
わかんないのにあれこれ考え出した僕の頭を、大きくて優しい手がふわりと撫でた。
左隣を見上げると、アルが優しく微笑んで僕を見ている。
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