閑話*ある晴れた休日 お花見編 ■しおりを挿む
「あの二人は仲が良いですね」
早く二人っきりになりたいんだろうな、なんて思いながら見ていると、アルが僕の頭を撫でてきた。
僕もアルと二人になりたいって気持ちになってきてたのに気付かれたかな?
「うん。じゃあ、僕たちも仲良くご飯を食べよっか!」
「そうですね、早く正太郎の手料理を確保しなければ……」
僕はアルにおにぎりを手渡して、それに気を取られている隙におかずも取ってあげた。
もちろん全種類、まんべんなく。
だってアルに自由を与えたら、僕が作ったおかずばっかり食べてしまうんだもん。
「これは、正太郎が握ってくださったおにぎりですか?」
「そうだよ。がんばって練習したんだ」
なんとか三角になったおにぎりは、まだまだ満足はできない仕上がりだ。
もっと練習して、母さんが握るような丸みを帯びた三角おにぎりを握れるようになりたい。
「嬉しいです。早く正太郎と暮らしたいです……」
「……僕も。ずっと一緒にいようね」
何年も何十年も、アルと毎年この桜を見に来たい。
時間があんまりないなら、おにぎりだけ持ってきて五分間のお花見でもいいから。
でも、できれば琳と牧野さんも入れた四人で、休みを合わせてお花見ができるといいな。
目の前の睦まじいカップルもお弁当を食べ始めた。
僕はおかずを取り合うアルと琳を横目に、いつまでもこの幸せが続きますようにと願いながら、風に揺れる綺麗な桜を見上げた。
-END-
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