閑話*ある晴れた休日 お花見編

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 ……まぁいっか、美味しいならよかった!

 まさかヒヤッとした出来事がいい方向に転がっちゃうなんてね。

 たまたまだけど、これも実力のうちに入るよね。


「正太郎、俺ももらっていいかな」


 嬉しくて緩む頬を持て余していたら、琳の卵焼きを食べ終わった牧野さんが声を掛けてきた。


「うん! いくらでもどうぞ」

「ありがとう」


 僕は取り箸用の割り箸で牛肉巻きを一つ摘まんで、牧野さんのお皿に乗せてあげた。

 アルが少し恨めしそうな視線を寄越したけど無視。

 四人で食べるお弁当だから、独り占めはしないって約束をしているんだ。


「……アルの言う通り、ちょっと焦げた醤油の味がいいね。アスパラガスの甘味が引き立ってる」

「本当!?」

「うん。いいお嫁さんになれるよ」

「そ、そんな……」


 お嫁さん、なんて。

 僕は男だから、そんなのなりたくない。

 でも、アルのお嫁さんになら、なってもいいかも。

 お嫁さんって言っても、ご飯を作ってあげる人って意味だろうし。

 ……って、これはたまたまなんだった!

 牧野さんに褒められて自信が少し付いたけど、確実にできるようにもっとがんばろう。


「よかったな、正太郎!」

「うん! 僕、もっとがんばる」


 琳が自分のことみたいに喜んでくれてる。

 きっと僕が努力していることを知っているからだ。




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