閑話*ある晴れた休日 お花見編

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 あったかいお茶をすすりながらアルをたしなめる牧野さんは、さすが長年の付き合いって感じで落ち着いている。


「す、すみません正太郎」

「ううん……。大丈夫だよ」


 項垂れる金色の頭を撫でてあげたら、やっとアルが微笑んでくれた。

 なんだかんだ言って典型的な見た目だから、抱き締めるだけなら何とでもごまかせるんだよね。

 僕が困っていたのは、アルが恋人だって気持ちがあるからだし。


「ほな落ち着いたとこで、そろそろお弁当食べよか」

「うん!」

「ありがとうございます」


 僕とアルは琳から紙皿と割り箸を受け取った。

 いよいよ味の評価が出るんだ……!

 牧野さんが琳が焼いた卵焼きを食べているのを見ていると、緊張が高まってくる。


「正太郎はどれを作ってくれたのですか?」

「あ、味付けしたのはこれ……」


 アルに優しく問いかけられて、僕は一番近くにあったアスパラガスの牛肉巻きを指差した。

 ちょっとだけ焦がしちゃったんだけど、苦くないといいな……。

 お肉が焼けてから醤油をかけたらすぐに焦げて、思っていたより茶色くなっちゃったんだ。


「……すごく美味しいです! 醤油で少し焦がしてあるのですね」

「えっ……あ、あの」


 わざと焦がしたんじゃなくて、誤って焦がしたんだけど。


「焦がし醤油の味が、いいアクセントになっています!」

「ありがとう……」


 見た目より苦くないのかな?




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