天使か悪魔か ■しおりを挿む
◆ ◆ ◆
そういうわけで、俺はいつも通りにこの部屋に連れてこられたんや。
なんの因果か、正太郎はアルと出掛けてしもたから二人きりやし……。
いや、ただホワイトデーのデートに行っただけやねんけどな。
だって今日は3月13日やから。
ちょうど先月、バレンタインした日や。
せやのに正太郎はラブラブデートで俺はお仕置き。
なんやろこの差……。
「琳、辛くない?」
「うん。いける……」
陽平は俺の手錠とヘッドボードの上にある壁照明の金属を鎖で繋いで、長さの調整してる。
さっきのは、鎖が短すぎひんかって気遣ってくれた台詞や。
腕上げたら肩が疲れるからって、手が胸元まで来るようにしてくれてるねん。
手錠の素材にも気遣ってくれたし、えらい優しいやろ。
でもな、その優しさがズレてんねん!
そら俺かて悪かった。
軽い気持ちであんなことして、陽平に嫉妬させてしもたんやから。
せやけど、あれからめちゃくちゃ反省したんや。
どうせ優しいにしてくれるんやったら、許してほしいんやけどな……。
「ふふっ。いい格好だね」
陽平は手錠と鎖で繋がれた全裸の俺を、満足気に見下ろしてる。
俺はその視線に羞恥を覚えて、股間を隠すように脚を擦り合わせた。
でも陽平の手が、あっさりと俺の膝を左右に割り開く。
「隠しちゃダメだよ」
「俺だけ見られるん、いやや……」
陽平は普通に服着てるのに、俺だけパンツすら穿いてないんや。
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