天使か悪魔か

しおりを挿む



 俺はなんとなく緊張しながらその所作を見守った。

 せやかて、さっき陽平はケーキ奢ってくれるって言うたんやで?

 ってことは、お仕置きの理由は、箱の中身にガッカリしたってことやないんや!

 とにかく今の陽平はいつもの陽平やない。

 何を考えてるんか、ちょっとでも読み取って対策したいとこや。


「はい。朗読して」

「あ……うん」


 封を開けただけの手紙が俺の手元に戻ってきた。

 どうせお礼とかブレスレットの手入れ法とか書いてあるだけやろし、朗読せんかて先に陽平が読んでもええんやけど。

 でも陽平はちゃんとしてる人やから、そない言うても読まへんやろな。

 俺は陽平の視線にドキドキしながら、封筒から二つ折りの紙を出して広げた。

 まず朗読の前に黙読せんと……。




 バレンタインチョコありがとう。

 まさか琳からもらえるなんて思ってなかったから、本当に嬉しかった。

 しかも俺のために手作りしたなんて言うから、本気でドキドキした。

 プレゼントの中身は琳が欲しがってた、俺の手作りのブレスレットだ。

 前に誰かとお揃いなんて恥ずかしいって話をしたけど、琳となら嬉しいから気にしないでくれ。

 俺が誰かのために手作りするなんて、これが初めてなんだから大切にしてくれよ。







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