天使か悪魔か ■しおりを挿む
「なんか美味しそうな箱やな! ほらっ!」
「……そうだね」
二人で食べたらすぐなくなってまいそうやけど、また欲しかったら聡に店教えてもろたらええしな。
包装紙剥がして、厚紙が素材のしっかりした箱を開けてみる。
「あれ……?」
中から出てきたんは、お菓子やなくてブレスレットやった。
聡が毎日付けてるやつによう似てる。
あいつの手作りらしくて、かっこええなってずっと思てたから覚えてんねん。
もしかして、三ヶ月ぐらい前にどこで売ってるんか訊いたん覚えてて、わざわざ作ってくれたんかな!?
それやったら嬉しい!
ブレスレットを箱から出して、浮かれた気分で眺めてたら、隣で陽平が深い溜め息を吐いた。
あ……お菓子やなかったからガッカリさせてしもたかも。
早とちりして期待させてしまうやて、悪いことしたな。
「琳」
「ふぇ?」
「お仕置きだね」
「なっ! なんでや!?」
期待を裏切ったんは悪いけど、この埋め合わせはちゃんとするつもりや!
俺かてお菓子食べたかったから、どっかで甘いもんでも奢ったろかなって思うし!
「ケーキ! な、ケーキ食べよ」
「ケーキ? 食べたいなら後でご馳走してあげる。でも先にそれ、手紙貸して」
車が静かに減速して、路肩に停まった。
なんで手紙があるってわかるんやろ、と思いながらも紙袋から手紙を出して渡したら、陽平は懐から出したペーパーナイフでスッと封を切った。
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