天使か悪魔か

しおりを挿む



 ……って、あれ?

 アメリカやったらできるんやったっけ?

 陽平と結婚……できるんやったら、したいな。

 帰ったら朋ちゃんにパソコン借りて、その辺のこと軽く調べてみよかな?


「おや、顔が真っ赤だね」

「!」


 いきなりデコに冷たい手のひらをあてられた。

 脳内で陽平との結婚式が繰り広げられとったから、俺は飛び上がりそうな程びっくりした。

 心臓バクバクしてて、破裂しそうや!


「熱が出たわけじゃないみたいだけど」

「……あ、あのな、陽平とこれ食べよう思てんねん!」


 俺は考えてたことを悟られんように、聡からもろた紙袋を掲げた。

 たぶん中身は高級な飴ちゃんかマシュマロってとこやな。

 量が少ないんか、わざわざ帰ってから開けてって言うてくれたけど、俺は美味しいもんは独り占めせんと分かち合いたいタイプやねん。

 相手が陽平やったら尚更や。


「それ、お返し……とか言ってたよね」

「あのなっ! バレンタインで陽平にあげたお菓子、切れ端集めて家で味見したけど、余ったからお裾分けしたったんや。そのお礼らしいねん」


 ほんまのことやのに、なんか言い訳臭い気がするんはなんでやろ。

 後ろめたいことなんかしてへんはずやのに、なんか怖いし。


「へぇ……」


 陽平の流し目から逃れるように、俺はちっちゃい紙袋の中を覗いてみた。

 ほんなら紙袋の大きさに合うたちっちゃい箱と手紙が入ってる。

 なんやねん、礼状とかほんまに律儀やな。

 とりあえず礼状は置いといて、箱だけを袋から出す。




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