天使か悪魔か

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 俺は周りの注目集めてる陽平の隣を歩きながら、次に乗り越えなあかん壁のことを考えとった。

 あれや、五月に陽平の家族に会うことや!

 がんばったご褒美はそれが上手いこといく、ってやつでお願いしたい。

 俺、ほんまにずっと陽平といてたいねん。


「琳、なにを考えてるの?」

「っ……!」


 ぼーっとしながら車に乗ったら、横から頬っぺたを摘ままれた。

 力加減してくれてへんから、痛みで涙が出てくる。


「いひゃいやん!」


 睨んだったら、逆に眼鏡越しの視線に射抜かれた。


「俺といるのにぼんやりしている琳が悪い」

「……ごめん」

「それで、嬉しいはずの時に何を悩んでいるわけ?」


 陽平はエンジンを掛けながら、話を促すように俺の頬っぺたを撫でた。


「う……笑わんとってくれる?」


 走り出したセンチュリーのシートに身体預けて、俺はご褒美のことを話した。

 そらもう真面目に。真剣に。

 陽平はたまに相槌打ちながら、一応最後まで聞いてくれた。

 せやけど、俺が話し終わった途端に笑いよった!

 アホみたいな爆笑とちゃうけど、くすって笑いよったんや!


「陽平のアホ!」

「ひどいな。琳が可愛いことを言うから悪いんだよ」

「別に、そんなんやないし」


 なんやねん。

 俺は本気で言うてるんやで。

 ほんまに不安なんや。


「ふふっ……。少なくとも、俺は琳と添い遂げたいと思っているから安心して」

「そっ」


 添い遂げたいて!

 なんか結婚するみたいやんか!




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