天使か悪魔か ■しおりを挿む
「うん、探したんだぞ。……って、モデル男じゃん」
「……こんにちは」
「ちわ! やっぱあんた、本当に琳の知り合いなんだ?」
あかん。
なんや知らんけど陽平が不機嫌や。
聡は合格したってはしゃぎながら、嬉しそうに俺の背中に頬擦りしてる。
まぁ友達も一緒に受かったんはええことやけど、今はそれどころやない。
せやかて陽平が綺麗な笑顔で怒ってるんやもん!
一見天使に見える笑顔やけど、オーラが黒いから形容するなら悪魔や!
「で、琳にこれやるっ」
とにかく聡から離れなあかん、ってもがいたら、背後から小綺麗な紙袋が出てきた。
「……あ?」
「ちょっと早いけどお返し。あ、中身は帰ってから見てくれよ」
あぁ……忘れてたわ。
聡って律儀な奴やったんやな。
なんか珍しいお菓子やったら、後で陽平と食べよかな?
「ありがとう」
「うん! じゃあまた、メールするな」
「えっ、聡?」
紙袋を受け取ったら、聡はあっさり俺から離れて帰ってしもた。
振り返ったけど急いでたんか、すでに人混みに紛れてしもて見付からんかった。
ようわからんけど、これ渡すためだけに探してくれとったんやな。
俺に顔も見せへんぐらい急いでたのにわざわざ。
「ふぅ……。えらい忙しない奴やったな」
「本当にね。じゃあドライブしながら、ゆっくり帰ろうか」
「そうやな!」
よかった……陽平の機嫌がようなってきたみたいや。
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