天使か悪魔か

しおりを挿む



「うん、探したんだぞ。……って、モデル男じゃん」

「……こんにちは」

「ちわ! やっぱあんた、本当に琳の知り合いなんだ?」


 あかん。

 なんや知らんけど陽平が不機嫌や。

 聡は合格したってはしゃぎながら、嬉しそうに俺の背中に頬擦りしてる。

 まぁ友達も一緒に受かったんはええことやけど、今はそれどころやない。

 せやかて陽平が綺麗な笑顔で怒ってるんやもん!

 一見天使に見える笑顔やけど、オーラが黒いから形容するなら悪魔や!


「で、琳にこれやるっ」


 とにかく聡から離れなあかん、ってもがいたら、背後から小綺麗な紙袋が出てきた。


「……あ?」

「ちょっと早いけどお返し。あ、中身は帰ってから見てくれよ」


 あぁ……忘れてたわ。

 聡って律儀な奴やったんやな。

 なんか珍しいお菓子やったら、後で陽平と食べよかな?


「ありがとう」

「うん! じゃあまた、メールするな」

「えっ、聡?」


 紙袋を受け取ったら、聡はあっさり俺から離れて帰ってしもた。

 振り返ったけど急いでたんか、すでに人混みに紛れてしもて見付からんかった。

 ようわからんけど、これ渡すためだけに探してくれとったんやな。

 俺に顔も見せへんぐらい急いでたのにわざわざ。


「ふぅ……。えらい忙しない奴やったな」

「本当にね。じゃあドライブしながら、ゆっくり帰ろうか」

「そうやな!」


 よかった……陽平の機嫌がようなってきたみたいや。




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