天使か悪魔か ■しおりを挿む
◆ ◆ ◆
T大の合格発表、ニュースで見たことはあったけどほんまにすごかった。
ほんまに胴上げでお祝いするんやな!
「琳、おめでとう」
陽平の声に振り返ったら、いきなりピカッと眩しい光が俺を照らした。
「っあ! いきなり写真てなんやねん!」
「想い出だよ。素の琳を撮りたくてね」
「もう……。せやけど、めっちゃ嬉しい。ありがとう」
そうやねん。
俺、T大に合格してん!
ほんで、ゴツい兄ちゃんらに胴上げされてきたとこやねん。
それはともかく、ほんまに安心したわ。
わざわざ陽平が発表見るのに付き合ってくれたのに、落ちてたってなったら居たたまれへんもん。
「琳にはご褒美をあげないとね」
「へへ……。楽しみやな」
なにくれるんやろ?
正直言うて、俺は陽平といてられたらそれでええ。
……なんて!
そんなん恥ずかして、よう言わんわ。
「りーん!」
「ぐふぅっ」
「あっ……と。危ないな」
一人で照れてたらいきなり背後から何者かに飛び付かれて、俺はその勢いで転びそうになった。
前にいてたんが陽平やから受け止めてもらえたけど、他人やったら避けられて地面とキスするとこやわ!
「その声は、聡やな……」
予備校で同じクラスの、宮原聡や。
俺より一つ歳上やけど、親しみやすくてええ奴やねん。
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