大人のチョコレート ■しおりを挿む
ホットケーキやバニラアイスなら、そのまま掛けるだけで美味しそう…。
さっそく明日、母さんにホットケーキを焼いてもらおうかな。
僕はチョコレートシロップの袋を一旦リビングに置きに戻って、今度こそ牧野さんを手伝うために再びキッチンに入った。
「牧野さん、お手伝いさせてください」
「正太郎様が…ですか? いいえ、そのようなことをさせるわけにはいきません」
「料理が上手くなるように、練習をしたいんです」
「なるほど。では、こう致しましょう」
そう言った牧野さんは、冷蔵庫からいくつかの食材を出してきた。
なにかいい考えがあるみたいだ。
◆ ◆ ◆
「これ、僕が作ったんだ」
「この前菜を、正太郎が?」
アルが僕の差し出したお皿を見て目を輝かせた。
「う、うん…」
「とても調理の手際がよろしくて、勉強になりました」
「牧野さんっ…」
お世辞にも程があるよ!
僕は、ただ言われるままにゆっくり作っただけなのに。
牧野さんは、僕にお手伝いはさせられないけど料理の腕を振るうのは歓迎ですって言うと、簡単に作れる前菜のレシピを教えてくれたんだ。
「正太郎、いつの間にこんなん作れるようになったんや? …あ、美味いな!」
「琳!それは私のものです。勝手に箸を付けないでいただけますか」
琳が僕のおかずを一口食べて感想を漏らすと、アルはお皿を自分の方へ引き寄せてしまった。
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