大人のチョコレート ■しおりを挿む
だって僕は切実なんだ。
これからもアルに我が儘を言って迷惑を掛けてしまうかもしれないし、直る方法があるなら直したいし。
でもアルはそれを聞いた後、黙って僕を抱き締めるだけだった。
「アル?」
「どうして正太郎は、そんなに可愛らしいのですか?」
「はぁ…?」
「先ほどは酔っていたのですよ」
酔っていた、と聞いて思い付いたのは、さっきのリキュールボンボン。
でもしつこいようだけれど僕はそんなので酔ったことがないし、さっきも酔っていた感覚はない。
「脳にはですね…ええと。日本語で…」
アルはブツブツと英語で呟きだした。
僕に説明したいけど、日本語でなんて言えばいいのかわからないみたいだ。
「すみません。牧野に通訳をさせます」
「待って。脳とかよくわかんないから簡単に教えて」
「…つまり、正太郎はアルコールのせいで大胆になってしまっただけです。身体が熱くなったのも、アルコールで血液の巡りがよくなったからです」
「そうなんだ…」
「酔った感覚がなくても、作用はあるのですよ」
いわゆるほろ酔いの一歩手前くらいだったんだけど、アルコールの影響が少しあったから与えられた快感に対して大胆になっていたらしい。
よくわかんないけど、僕が急にいやらしい奴になってしまったわけじゃないらしい!
安心した僕は、アルと一緒に牧野さんが作ってくれたカフェモカを飲んだ。
カフェモカはお店で飲んだことがあるけど、それよりも美味しい。
「牧野さんは本当にすごいね…こんなに美味しく作れるなんて。お店を出したら絶対流行るよ。美人だし」
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