大人のチョコレート ■しおりを挿む
◆ ◆ ◆
なんだか僕、急にすごくいやらしい奴になった気がする。
だってあんなにエッチな気分を抑えきれずに表に出しちゃうなんて。
自分でもどうしてだかわからない。
何故か身体が熱くてソワソワして、欲を抑えられなかったんだ。
いつもは気持ちよくしてもらってもあんな風にならないから、僕もびっくりした。
………それより、アルがなかなか戻ってこない。
一緒にお風呂から上がって、今は一人でアルの部屋のソファに座って帰りを待っているんだけれど…。
僕がエッチだから呆れちゃったのかな。
不安になったら寒くなってきて、僕はソファの上で膝を抱えて転がった。
「正太郎、牧野がカフェモカを…。っ、どうしたのですか!?」
ドアが開くと同時にアルの声が聞こえて、それに反応して顔を上げようとすると大きな足音が近付いてきた。
ガチャンッと激しい音を立ててテーブルに置かれたトレイのカップが揺れて、中の液体が大きく波立った。
「あっ…こぼれちゃ…」
「そんなものより正太郎です!」
アルは僕を持ち上げると、ソファに座ってそのまま膝に乗せた。
ちょうど横向きで膝に座っている感じ。
「どこかが痛むのですか?」
「違うよ」
「では、どうしたのですか?」
「え…と、…」
僕はさっきの恥態について、アルに悩みを正直に打ち明けた。
ちなみに、アルに呆れられたかもしれないと思ったことは内緒。
言ったら激しい否定の言葉で悩み相談が流れそうだから。
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