大人のチョコレート

しおりを挿む



「正太郎、大丈夫ですか?」

「うん…」

「このお菓子には強いリキュールが入っているのです。体調はおかしくありませんか?」

「大丈夫だよ。僕、こういうの食べたことあるもん」

「そうですか…。正太郎が元気ならば、問題はありません」


 アルは僕が酔っ払ってしまったのかと心配したらしい。

 こんなので酔うなんてわざとらしいと思うのは、僕が酔わないタイプだからかな。

 もう少し食べたいって言ったら、アルはチョコを口に入れてキスをしてくれた。

 甘くてほろ苦くて、なんだか大人になった気がする。

 僕も早く本当の大人になってアルとお酒が呑みたいな。


「正太郎、そろそろベッドに運んでもよろしいですか?」


 いっぱいキスをして身体が熱くなってきた頃、アルは長いキスの合間にそう囁いた。


「うん…」


 恥ずかしいからアルに抱き付いて返事をする。

 するとアルがそのまま立ち上がった。

 腕はそれぞれ、僕のお尻と背中を支えるように回っている。

 待って、赤ちゃん抱っこだよこれ!


「これ恥ずかしい!」

「どれですか?」

「だ、抱っこ…赤ちゃんみたい」

「ふふ、誰も見ていませんよ」


 そういう問題じゃなくて。

 姫抱きも恥ずかしい抱き方だけど、今の赤ちゃん抱っこの比じゃない。

 高校生にもなってこんな抱っこされたくない!

 下ろすか違う格好にしてほしくてもがいていると、アルが僕の耳たぶにキスをしながら囁いてきた。




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