大人のチョコレート

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◆ ◆ ◆




「アルくん、どうかしら?」

「中華料理なのに油っぽくなくて食べやすいです。きっと、お義母様のアイディアと工夫のおかげですね。これは…揚げずに調理されたのですか?」

「まぁ!さすがアルくんね。お父さんは気付いてくれないのよ」


 母さんの気合いが入った中華は、全部がいつもより美味しい。

 やっぱり素材と心意気がいい方に変わると、味もよくなるみたいだ。

 父さんも、美味しい美味しいって言いながら食べているし。

 でも母さんがずっとアルに話し掛けているせいで、僕の方はだんだんつまんなくなってきた。

 お腹がいっぱいになってきたせいで、ご飯に意識が向かなくなってきたし。

 僕は隣に座るアルの太ももを撫でたり揉んだり叩いたりして遊ぶことにした。


「アルくん、正太郎を末長くよろしくお願いします」


 アルが一向にくすぐったがらないから意地になってきた時、突然母さんが爆弾を落とした。


「か、母さん!?」

「…はい、もちろんです。こちらこそよろしくお願い致します」


 アルもなにを言い出すんだ!

 母さんはこれ以上ややこしいことを言わないでほしい。

 黙って見つめ合う二人が次になにを言うのか心配で、気が気じゃないんだけど。

 焦っているうちに今朝の会話を思い出してしまって、また嫌な汗が出てきた。

 アルは僕と違って墓穴を掘ったりしないだろうけど、どうしてもヒヤヒヤする。




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