大人のチョコレート ■しおりを挿む
って、それよりも早く水に浸けないとならないんだっけ。
「…家に花瓶とかあるのかな」
「花瓶はこちらにあります。大きな方は家族のスペースに、小さな方は正太郎の部屋に飾ってください」
「花瓶まで貰っていいの!?」
「はい。正太郎のプライベートルームに置いてほしいのです」
「ありがとう…」
僕もアルがくれた花を部屋に飾りたい。
その前にまず、母さんに見せよう。
僕は花束を抱え直して、アルをまずリビングに通した。
母さんは琳にアルが来たことを聞いていたらしく、紅茶を用意していた。
「アルくん、いらっしゃい」
「本日はお招きいただき、ありがとうございます。こちら…つまらないものですが、皆さんで召し上がってください」
こういう手みやげって、アメリカ人もするの?
よくわかんないけど、つまらないものですがって台詞がアルにすごく似合わない。
「まぁまぁ!ご丁寧に。ありがとうございます」
「ねぇ母さん、これもアルがくれたんだ。花瓶も!」
「あら…こんなに立派な花束に花瓶まで。いいのかしら?」
僕は花束を母さんに見せてから、まず自分の部屋に飾る分だけを取った。
メインにしようと決めた大きな花以外は、ほとんどアルが選んでくれた。
そして紅茶は部屋で飲むことにして、アルを連れてリビングを出る。
実はアルを僕の部屋に入れるのは初めてなんだ。
がんばって掃除はしたんだけど、狭いから少し恥ずかしい。
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